ガレクチン
現在、哺乳類のガレクチンとしてガレクチン-1から-15まで14種類1) が知られています(ヒトの場合、- 5, - 6, -14, -15に相当するものがありませんので現在のところ10種類ですが、今後さらに増える可能性があります)。ガレクチンは、その形から大きく3つのサブグループに分けることができます(図1、表1)。第1のグループは、糖鎖と結合する部分(糖鎖結合ドメイン2):carbohydrate recognition domain, CRD)を1つ持っているプロトタイプ(proto-type)、2番目は1個の糖鎖結合ドメインに糖鎖とは結合しない別のドメインが繋がった構造を持つキメラタイプ(chimera-type)、3番目は2つの糖鎖結合ドメインから成るタンデムリピートタイプ(tandem-repeat-type)です。プロトタイプとキメラタイプは糖鎖結合ドメインを1つしか持っていませんが、2つの分子が結合すること(ダイマー形成)によって、実質的にタンデムリピートタイプと同じように2つの糖鎖と結合できます(プロトタイプ型ガレクチンの中には、ダイマー構造を形成しないと考えられているものもあります )。

表1 哺乳類ガレクチンファミリーの特徴と機能
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タイプ* |
組織分布 |
機能、その他
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| Galectin-1 |
P |
普遍的に発現 |
活性化T細胞のアポトーシス誘導
細胞増殖、mRNAスプライシング
神経軸索の再生(酸化型Galectin-1)
KO** : 臭覚神経の神経突起伸展異常
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| Galectin-2 |
P |
小腸、胃 |
心筋梗塞の危険因子 |
| Galectin-3 |
C |
普遍的に発現 |
細胞接着、mRNAスプライシング
T細胞のアポトーシス阻害
マクロファージ遊走因子
AGE受容体
KO: 腹腔内炎症反応の減弱
糖尿病に伴う腎障害の進行加速
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| Galectin-4 |
T |
消化器系 |
腸管におけるCD4(+)T細胞の活性化 |
| Galectin-5 |
P |
赤血球(ラット) |
赤芽球の成熟?
Galectin-9のC-末端CRDと高いホモロジー
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| Galectin-6 |
T |
消化器系(マウス) |
Galectin-4と高いホモロジー |
| Galectin-7 |
P |
ケラチノサイト(重層上皮)
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| Galectin-8 |
T |
普遍的に発現 |
細胞接着
好中球機能の調節
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| Galectin-9 |
T |
免疫細胞、肺、消化器系
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活性化T細胞のアポトーシス誘導
好酸球遊走因子
癌細胞のアポトーシス誘導
細胞接着
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| Galectin-10 |
P |
好酸球、好塩基球 |
Charcot-Leyden crystal
マンノースに親和性 |
| OVGAL11 |
P |
寄生虫に感染したヒツジの胃
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| Galectin-12 |
T |
脂肪組織 |
脂肪細胞のアポトーシス誘導 |
| Galectin-13 |
P |
胎盤 |
pregnancy-related protein
Galectin-10と高いホモロジー
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| Galectin-14 |
P |
好酸球(ヒツジ) |
アレルギー反応に関与?
Galectin-9のN-末端CRDと比較的高いホモロジー
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Galectin-15/
OVGAL11
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P |
寄生虫に感染したヒツジの胃
子宮
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*、P:proto-type;C:chimera-type;T:tandem-repeat-type
**、ノックアウトマウスの表現形
1) 哺乳類のガレクチンの命名に関して一部混乱があります。2000年にDunphyらが寄生虫感染に伴ってヒツジの胃で発現が増加する因子として新しいガレクチンを同定しました。この時点で哺乳類のガレクチンは10種類(galectin-1〜10)が知られていましたが、Dunphyらはこの新しいガレクチンをOVGAL11と呼び、ガレクチン−11と言う名前は用いられませんでした。2001年に脂肪細胞で特異的に発現している新しいガレクチンがYangらとHottaらによって報告され、ガレクチン−12の名称が与えられました。論文の内容からも、両グループがOVGAL11をガレクチン−11と認識していたことが分かります。ところが、2004年になってGrayらがOVGAL11がヒツジの子宮(子宮内膜と栄養外胚葉)で発現していることと、その子宮における機能を示唆する論文を発表し、この中でOVGAL11をガレクチン−15と(勝手に?)命名してしまいました。ガレクチン研究者の間でOVGAL11=ガレクチン−11であると一般的に認知されていたことをGrayらは知らなかったものと思われますが、不注意と言わざるを得ません。
Dunphy JL, Balic A, Barcham GJ, Horvath AJ, Nash AD, Meeusen EN.
Isolation and characterization of a novel inducible mammalian galectin.
J Biol Chem. 2000 Oct 13;275(41):32106-13.
Yang RY, Hsu DK, Yu L, Ni J, Liu FT.
Cell cycle regulation by galectin-12, a new member of the galectin superfamily.
J Biol Chem. 2001 Jun 8;276(23):20252-60.
Hotta K, Funahashi T, Matsukawa Y, Takahashi M, Nishizawa H, Kishida K, Matsuda M, Kuriyama H,
Kihara S, Nakamura T, Tochino Y, Bodkin NL, Hansen BC, Matsuzawa Y.
Galectin-12, an Adipose-expressed Galectin-like Molecule Possessing
Apoptosis-inducing Activity.
J Biol Chem. 2001 Sep 7;276(36):34089-97.
Gray CA, Adelson DL, Bazer FW, Burghardt RC, Meeusen EN, Spencer TE.
Discovery and characterization of an epithelial-specific galectin in the
endometrium that forms crystals in the trophectoderm.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2004 May 25;101(21):7982-7.
2) ドメイン:蛋白質の一部分で、構造あるいは機能に関してあるまとまりを持つ部分。